【統計学入門(東京大学出版会)】第8章 練習問題 解答
東京大学出版会から出版されている統計学入門(基礎統計学Ⅰ)について第8章の練習問題の解答を書いていく。
本章以外の解答
本章以外の練習問題の解答は別の記事で公開している。
必要に応じて参照されたい。
8.1
母集団分布が何であれ、確率変数の和 は中心極限定理により正規分布 に従う。 このため、
の標準化を行えば、
が得られる。 は標準正規分布に従うから、数値表より上側確率 となる値を探すと、 であることがわかる。 標準正規分布は偶関数であるから、
を満たす を求めればよい。 ベルヌーイ分布 の期待値 と分散 を利用して式変形すると、
が得られる。 を代入すると、 が得られる。
8.2
i)
確率分布 が、
であるから を利用して、期待値 は、
分散 は、
より、
となる。
確率変数 は、 が大きいとき中心極限定理により正規分布 に従うから、近似的確率分布は に従うことがわかる。
ii)
近似的確率分布 を描画するPythonプログラムを次に示す。
from math import sqrt, pi import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt fig = plt.figure(figsize=(6, 12)) fig.patch.set_alpha(1) def plot(idx, n): p = 0.4 q = 1 - p mu = n * (2 * p - 1) sigma = sqrt(4 * n * p * q) x = np.arange(-20, 20, 0.1) y = np.exp(- (x - mu)**2 / (2 * sigma**2)) / (sqrt(2 * pi) * sigma) plt.subplot(2, 1, idx) plt.plot(x, y) plt.xlabel("x") plt.ylabel("f(x)") plt.title(f"3.1 ii) n={n}") plot(1, 10) plot(2, 20)
上記のプログラムを実行すると、次のグラフが描画される。
8.3
450打数のときに3割のバッターになれる確率
打者がヒットを打つ確率変数を としその和を とすると、今回の問題では が十分大きいことから中心極限定理を適用でき、 は正規分布 に従う。
また今回の問題では、確率変数 はベルヌーイ分布に従うから、今シーズンにおける打者のヒット数の期待値 と分散 は、
となる。
今シーズンで打率が3割以上となる確率は、 による標準化により、
と求まる。なお、最後は付表の値を参照した。
3割のバッターになれる確率が0.2以上となる必要打数
打数を とすると、
であるから、 による標準化により、
を満たす を求めればよいことになる。 付表を参照すると、
より 、すなわち355打数以下でなければならない。