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【統計学入門(東京大学出版会)】第4章 練習問題 解答

東京大学出版会から出版されている統計学入門(基礎統計学Ⅰ)について第4章の練習問題の解答を書いていきます。

本章以外の解答

本章以外の練習問題の解答は別の記事で公開しています。
必要に応じて参照してください。

4.1

(i)

6以外の目が出る確率は5/6であるため、さいころを4回投げたときに6の目が1回も出ない確率は、


\displaystyle \left( \frac{5}{6} \right)^{4} = 0.482253

となります。したがって、6の目が少なくとも1回出るほうに賭けたほうがよいことになります。

(ii)

さいころを2個同時に投げて(6, 6)の以外の目が出る確率は1/36であるため、24回投げたときに(6, 6)の目が1回も出ない確率は、


\displaystyle \left( \frac{35}{36} \right)^{24} = 0.508596

となります。したがって、(6, 6)の目が1回も出ないほうに賭けたほうがよいことになります。

4.2

さいころを2個同時に投げて目の和が12となる組合せは、(6, 6)の目しかありません。(6, 6)以外の目が出る確率は35/36です。
さいころを投げた回数を  n としたときに(6, 6)の目が出る確率が0.9を超えることは、次の式によって表すことができます。


\displaystyle 1 - \left( \frac{35}{36} \right)^{n} > 0.9

この式を満たす  n を求めると  n \gt 81.73637 となるため、答えは82となります。 なお、この不等式を求めるときに対数を取って計算すると楽ですが、符号の扱いに気を付けましょう。

4.3

30人から15人のグループを2つ作ることになるから、30人から15人を選ぶ組合せ数は次の式によって求められます。


\displaystyle {}_{30}C_{15} = \frac{30!}{15! 15!}

15と30の階乗は、スターリングの公式によって求めます。


\displaystyle n! = \exp \left( n \log_{e} n - n + \frac{1}{2}\log_{e}2\pi n  \right)

30の階乗は  n=30 として、次のように値を求めることができます。


\displaystyle 30! = \exp \left( 30 \log_{e} 30 - 30 + \frac{1}{2}\log_{e}60\pi  \right)

同様に15の階乗は  n=15 として、次のように値を求めます。


\displaystyle 15! = \exp \left( 15 \log_{e} 15 - 15 + \frac{1}{2}\log_{e}30\pi  \right)

これらを計算すると、最終的に求めたい組合せ数 156415325.9563033 ≒ 156,415,326 が得られます。
ちなみに、Pythonプログラムを使うと簡単に階乗を求めることができます。

from math import factorial

combination = factorial(30) / factorial(15)**2
print(combination)

このプログラムを実行すると155,117,520が得られ、スターリングの公式を用いて求めた結果と実際の値とが近い値になっていることがわかります。

4.4

r人すべてが異なる誕生日である確率は、次の式で表されます。


\displaystyle \prod_{i=1}^{r} \left( \frac{365 - (i -1)}{365} \right) = \prod_{i=1}^{r} \left( 1 - \frac{i - 1}{365} \right)

r人のうち少なくとも2人が同じ誕生日である場合は、r人すべてが異なる誕生日である場合の補集合であるため、次の式で表されます。


\displaystyle 1 - \prod_{i=1}^{r} \left( 1 - \frac{i - 1}{365} \right) \\
\displaystyle = 1 - 1 \times \left( 1 - \frac{1}{365} \right) \times \left( 1 - \frac{2}{365} \right) \times ... \times \left( 1 - \frac{r - 1}{365} \right) \\
\displaystyle = 1 - \left( 1 - \frac{1}{365} \right) \times \left( 1 - \frac{2}{365} \right) \times ... \times \left( 1 - \frac{r - 1}{365} \right)

rが5, 10, 15, 20~25, 30, 35, 40, 50, 60のときの確率を求めるPythonプログラムを次に示します。

for rmax in [5, 10, 15, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 30, 35, 40, 50, 60]:
    ans = 1
    for r in range(1, rmax+1):
        ans *= (1 - (r-1)/365)
    ans = 1 - ans
    print(f"r={rmax}, ans={ans}")

上記のプログラムを実行すると、次に示す結果が得られます。

r=5, ans=0.02713557369979347
r=10, ans=0.11694817771107768
r=15, ans=0.25290131976368646
r=20, ans=0.41143838358058016
r=21, ans=0.4436883351652059
r=22, ans=0.4756953076625502
r=23, ans=0.5072972343239854
r=24, ans=0.5383442579145288
r=25, ans=0.5686997039694639
r=30, ans=0.7063162427192687
r=35, ans=0.8143832388747152
r=40, ans=0.891231809817949
r=50, ans=0.9703735795779884
r=60, ans=0.994122660865348

4.5

ある人を起点にして考えると、他の人が隣に来る確率は2/3であるのに対して、向かい合いになる確率は1/3です。
問題の「向かい合って座るのが15組に対して、隣同士になるのが30組」になることは、この確率に沿っているだけと考えられます。 したがって、心理学者の推論は妥当ではないといえます。

4.6

さいころの目の和が9になる場合と10になる場合のパターンについて、それぞれ発生しうるさいころの組合せ数を次に示します。

さいころの和が9

パターン 組合せ数
(1, 2, 6) 6
(1, 3, 5) 6
(1, 4, 4) 3
(2, 2, 5) 3
(2, 3, 4) 6
(3, 3, 3) 1

したがって、さいころの和が9になる組合せ数の合計は25となります。

さいころの和が10

パターン 組合せ数
(1, 3, 6) 6
(1, 4, 5) 6
(2, 2, 6) 3
(2, 3, 5) 6
(2, 4, 4) 3
(3, 3, 4) 3

したがって、さいころの和が10になる組合せ数の合計は27となります。

以上のことから、組合せ数が多いさいころの和が10のなる場合のほうが起こりやすいといえます。

4.7

(i)

ベイズの定理と全確率の法則から、


\displaystyle P(C|A) = \frac{P(C) P(A|C)}{P(A)} = \frac{P(C) P(A|C)}{P(C) P(A|C) + P(C^{c}) P(A|C^{c})}

 P(C^{c}) = 1 - P(C) P(A|C^{c}) = 1 - P(A^{c}|C^{c}) であるから、


\displaystyle P(C|A) = \frac{P(C) P(A|C)}{P(C) P(A|C) + P(C^{c}) (1 - P(A^{c}|C^{c})} = \frac{0.005 \times 0.95}{0.005 \times 0.95 + 0.995 \times (1 - 0.95)}

となります。したがって、 P(C|A) = 0.0872 となります。

(ii)

 P(A|C) = P(A^{c}|C^{c}) = R として、


\displaystyle P(C|A) = \frac{P(C) P(A|C)}{P(C) P(A|C) + P(C^{c}) (1 - P(A^{c}|C^{c})} = \frac{0.005 R}{0.005 R + 0.995 (1 - R)} \ge 0.90

を満たす  R の範囲を求めると、 R \ge 0.9994 となります。