【統計学入門(東京大学出版会)】第7章 練習問題 解答
東京大学出版会から出版されている統計学入門(基礎統計学Ⅰ)について第7章の練習問題の解答を書いていく。
本章以外の解答
本章以外の練習問題の解答は別の記事で公開している。
必要に応じて参照されたい。
7.1
i)
かつ とすると、共分散 の定義より、
が得られ、
が得られる。
ii)
i)と同様にして、
7.2
i)
期待値
分散
ii)
i)で求めた分散 を式変形すると、
が得られる。
なお、 は より、
となり、 は下に凸の関数であることがわかる。
ここで を考慮すると、最小値をとる の値は の値によって変わることに注意する。
の値 | が最小となる | |
---|---|---|
① | ||
② | ||
③ |
①
、すなわち のとき、 で が最小値をとる。
したがって を に代入すると、 が得られる。
②
のときは、 で が最小値をとる。
なお は、
である。
したがって を に代入すると、
が得られる。
③
、すなわち のとき、 で が最小値をとる。
したがって を に代入すると、 が得られる。
iii)
と を描画するPythonプログラムを次に示す。
import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt e1 = 0.198 e2 = 0.055 sigma1 = 0.357 sigma2 = 0.203 rho = 0.18 x = np.arange(0, 5, 0.01) E = x * e1 + (1 - x) * e2 V = (sigma1**2 - 2 * rho * sigma1 * sigma2 + sigma2**2) * x**2 + 2 * sigma2 * (rho * sigma1 - sigma2) * x + sigma2**2 fig = plt.figure(figsize=(6, 12)) fig.patch.set_alpha(1) plt.subplot(2, 1, 1) plt.plot(x, E) plt.xlabel("x") plt.ylabel("E") plt.title("7.2 iii) E") plt.subplot(2, 1, 2) plt.plot(x, V) plt.xlabel("x") plt.ylabel("V") plt.title("7.2 iii) V")
プログラムを実行すると次のようなグラフが描画される。
7.3
A, Bそれぞれのつぼにボールが入る確率を1/2とする。
の確率分布 を示す。
確率 | |
---|---|
0 | |
1 | |
2 | |
3 |
3つのボールが1つのつぼに入るのは のとき、2つのつぼに入るのは のときである。 このことから、 の確率分布 は次のように得られる。
確率 | |
---|---|
1 | |
2 |
これを同時確率分布表にすると、次のようになる。
Y | |||
X | 1 | 2 | |
0 | 1/8 | 0 | |
1 | 0 | 3/8 | |
2 | 0 | 3/8 | |
3 | 1/8 | 0 |
独立の条件は、 が成り立つことが条件であるが、
であるため、独立ではないと言える。
一方で無相関の条件は です。
より、
となるため、無相関であると言える。
7.4
(Ⅰ)の方法で物体AとBを測定したときの分散は、それぞれ , となる。
一方で(Ⅱ)の方法で測定したときは、それぞれ , となる。
であるため、物体AとBがそれぞれ相関がないこと7.1 ii)の結果を利用して、
同様にして、
が得られる。
したがって、(Ⅰ)の方法で測定するよりも(Ⅱ)の方法で測定した方が分散が少なくなる(測定によるばらつきが小さい)ため、より優れた方法であると言える。
7.5
ここで、
より、
7.6
i)
はともに標準正規分布に従い、かつ互いに独立であるから、
となる。
このため、
が得られる。
これらを用いると、相関係数 は、
の関係式が得られるため、 について解くと、
が得られる。
ii)
i)より、
であるから、 について解くと、
が得られる。
iii)
とすると、本書の (7.30) より、
となる。
は2次元正規分布 に従うから、
が得られる。
ここで とおくと、
より、
が得られる。
また、
より、
が得られる。
最後に、
から、
が得られる。
したがって、
と求まる。
7.7
i)
互いに独立なシステム が並列に結合されているとき、全体の寿命 は2つのシステムが寿命を迎えたタイミングであるから、 が全体の寿命となる。
システム の寿命は指数分布、
で与えられ、累積分布関数 は、
である。
の寿命を とすると、その累積分布関数は のどちらか一方が まで寿命を迎えていなければよいため、
と求まる。
したがってその確率密度関数は、
ii)
互いに独立なシステム が直列に結合されているとき、全体の寿命 はどちらか一方のシステムが寿命を迎えたタイミングであるから、 が全体の寿命となる。
したがって、全確率から 両方のシステムが寿命を迎えていない確率を引けばよいため、
と求まる。
確率密度関数は、
7.8
i)
確率密度関数が、
で与えられるから、累積分布関数 は、
となる。
したがって、UとVの累積分布関数 はそれぞれ、
となる。このため、UとVの確率密度関数 はそれぞれ、
となる。
ii)
確率密度関数が、
で与えられるから、累積分布関数 は、
となる。
したがって、UとVの累積分布関数 はそれぞれ、
となる。このため、UとVの確率密度関数 はそれぞれ、
となる。
iii)
各 の確率密度関数が 、累積分布関数が で与えられるから、UとVの累積分布関数 はそれぞれ、
で与えられる。
このため、UとVの確率密度関数 はそれぞれ、
となる。
7.9
たたみこみの結果元と同じ確率分布となる場合、その確率分布は再生性も持つと言える。
i)
二項分布の確率分布は、
であるから、再生性が持つことを証明するためには、
が成り立つことを確認すればよい。
に注意すると、
となり、再生性を持つことが証明された。
ii)
二項分布の確率分布は、
であるから、再生性が持つことを証明するためには、
が成り立つことを確認すればよい。
二項定理
を利用すると、
となり、再生性を持つことが証明された。
iii)
二項分布の確率分布は、
であるから、再生性が持つことを証明するためには、
が成り立つことを確認すればよい。
となり、再生性を持つことが証明された。
なお途中の式変形で、
とおいた。