【統計学入門(東京大学出版会)】第6章 練習問題 解答
東京大学出版会から出版されている統計学入門(基礎統計学Ⅰ)について第6章の練習問題の解答を書いていきます。
本章以外の解答
本章以外の練習問題の解答は別の記事で公開しています。
必要に応じて参照してください。
6.1
二項分布
二項分布の期待値 は、
で与えられます。
一方 は、
となるため、分散 は、
となります。
ポアソン分布
ポアソン分布の期待値 は、
で与えられます。
一方 は、
となるため、分散 は、
となります。
6.2
ポアソン分布 は、次の式で与えられます。
4床の空きベッドが確保されているため、ベッドが不足する確率は救急患者数が5人以上である確率を求めればよいことになります。
したがって、
を求めることで答えが得られます。
上記の計算を行うPythonプログラムを次に示します。
from math import exp, pow, factorial ans = 1.0 for x in range(5): ans -= exp(-2.5) * pow(2.5, x) / factorial(x) print(ans)
上記のプログラムを実行すると、次の結果が得られます。
0.10882198108584873
6.3
負の二項分布とは、 回目の成功を得るまでの試行回数 に関する確率分布 です。 したがって最後の試行が成功となり、それ以外の 回の試行では、 回の成功と 回の失敗となる確率を求めればよいことになります。
成功の確率を 失敗の確率を とすると、確率分布 は、
以上により、負の二項分布を導出できました。
6.4
i)
個のコインのうち、1個のコインが表になり 個のコインが裏になる確率と、 個のコインが表になり1個のコインが裏になる確率の和が になります。
したがって、
ii)
繰り返し数を とすると、 回目でi)を満たす確率 は、
となるため、 の期待値 は、
から求めることができます。
ここで が非常に大きい(=無限大)のときは、
が成り立つため、
の関係式が得られます。
この関係式を利用すると、
が得られます。
6.5
定数
が確率密度関数となるためには、
を満たせばよいことになります。 したがって、
より(偶関数の性質を利用)、 が求まります。
以降の計算では、この の値を利用して期待値などの値を求めます。 すなわち、
です。
期待値
の期待値 は、
となります(奇関数の性質を利用)。
分散
となるため、分散
が得られます。
歪度
、 と、
より、歪度 は、
となります。
尖度
より、尖度 は、
となります。
6.6
i)
指数分布の確率密度関数 は、次の式で与えられます( は正の値)。
これを用いて、
となります。
は、過去に だけの時間が過ぎた状態という前提条件をもとにして、 だけ時間を進めたときの確率を示しています。 一方で は、いかなる前提条件をもとにせず、 だけ時間を進めたときの確率を示しています。 これらが同じ確率になっているということは、過去の時間経過がその後の確率に影響を与えていない、ということを示していると言えます。
ii)
累積分布関数 は、
となるため、
が得られます。
6.7
付表の正規分布表を利用します。
付表は上側の確率の値を示しているため、 の場合は、表の値の1/2となる値を見る必要があることに注意が必要です。 例えば、 の場合は、0.005に対応する の値を参照するといった具合です。
また本来は、内挿を考慮して値を求める必要がありますが、簡単のため2点間で近い方の値を の値として採用しています。
0.01 | 2.58 |
0.02 | 2.32 |
0.05 | 1.96 |
0.10 | 1.65 |
および
0.01 | 2.32 |
0.02 | 2.05 |
0.05 | 1.65 |
0.10 | 1.28 |
が得られます。
6.8
ベータ分布の確率密度関数 は、
かつ凹関数であることから、 を微分して0となる の値がモード(最頻)となります。
したがって、
を満たす を求めればよいことになります。 は に依存しないことに注意して計算すると、
が得られます。
なお、 のときはベータ分布が一様分布になることから、モードは の範囲で任意の値を取れる点に注意してください。
6.9
ワイブル分布の密度関数 を次に示します。
累積分布関数 は、
と求まります。 ここで求めた累積分布関数は、 を満たす場合に限定しています。 の場合は となるので、累積分布関数も0になります。
6.10
標準正規分布
したがってモーメント母関数 は、変数変換 とガウス積分の公式を使って求めることができます。
ここでマクローリン展開すると、
となります。
一方、モーメント母関数 は、
という性質があるため、
が得られます。
よって尖度 は、
となります。
指数分布
指数分布の確率密度関数 は、次の式で与えられます。
したがってモーメント母関数 は、次のようになります。 なお、 とします。
ここでマクローリン展開すると、
となります。
したがって、
が得られます。
よって尖度 は、
となります。