【合格体験談】JDLA Deep Learning for ENGINEER 2022 #1(E資格)
2022/2/19にE資格と呼ばれるAIの資格試験「JDLA Deep Learning for ENGINEER 2022 #1」を受験してきました。 結果としては合格でしたが、今後同じようにE資格を受験される方の参考になればよいと思い、合格のために私が行ってきたことを簡単にまとめたいと思います。
前提
E資格を受験することに決めたときの私の知識について書きます。
- AI関連の資格
- 数学に関する知識
- 現代数理統計学の基礎 を第1章~第8章まで2回通した
- 統計検定1級に向けて勉強を進めていた(勉強時間が足りないと感じ、2021年は受験を見送った)
- AIに関する知識
- 専用ハードウェア向けのAI学習高速化やMLOpsに関わっているため、開発・運用環境(特にGPU関連)に関しては知識あり
- 上記の業務の中でAIに関連する基本的な知識や理論は習得済み
- ゼロつく や MLPシリーズの深層学習本 は5年くらい前に読んだが、完全に理解しているかと言われるとそうではない
- Kaggleでコンペに参加した経験が複数回あり、基本的な機械学習や深層学習の知識やアルゴリズム、実装経験あり
試験結果
受験費用が高額であることと 次回(2022 #2)からシラバスが変わる ことから1回で合格したいと思い、集中して勉強しました。 なんとしても1発合格したいというプレッシャーもあり、具体的に計測していませんが勉強時間は合計で100時間を超えている思います。
試験前は過去問がなくて問題レベルがわからないため、やや不安なところもありました。 実際の試験では想定していた難易度よりもやや低めで、最後の問題を解き終わった段階で20分近く余りました。 回答に不安がある問題の見直しも十分に行えたので、統計検定2級の時よりも合格の手ごたえがありました。 ただ試験開始直後はPC操作に慣れず(特に電卓が使いにくい)、かなり焦りました。 試験問題の内容は規約上詳しく書くことはできませんが、以降で紹介する黒本と例題集の範囲で十分に網羅できており、この2つを重点的に勉強しておけば合格はほぼ確実かと思います。
試験結果の詳細は次の通りでした。
分野 | 得点率 | 出題量内訳 |
---|---|---|
応用数学 | 100% | 10% |
機械学習 | 89% | 35% |
深層学習 | 94% | 50% |
開発環境 | 100% | 5% |
6割くらいが合格ラインと言われる中で十分な得点率(90%超え)を取得できました。 出題量内訳は こちら の情報を参考にしましたが、出題傾向が変わっているためあくまで参考程度の数値となります。 試験終了後のためなんとでも言えますが、もう少し勉強の手を抜いて他のことに時間を使ってもよかったかなと思いました。 Twitterで6割に満たない得点率でも合格報告している人も見かけたので、合格ラインも想定より高くなさそうな感じでした。
勉強したこと
前提のところで書きましたが、AIや数学の基礎的な知識や理論は理解していたので、シラバスの範囲で知識が不足している部分を問題集や例題集で洗い出して勉強する方針で進めました。 類題もいくつか出題されるため、問題集や例題集を仕上げることが合格に直結すると考えます。
徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集
黒本と呼ばれている問題集です。 E資格向けの問題集としては、執筆時点で本書しか存在しないようで、本書はE資格を受ける人にとって必携かと思います。 実際に私の場合も、E資格に向けての勉強はほとんどこれだけで済ませました。
3回以上繰り返して解き、最終的にはすべての問題に回答できるようにしました。 もちろん何度も問題を解いていくと過学習気味になるため、数式の導出も含めて問題集の解説で取り扱っている内容も理解するようにしました。 用語を丸暗記するのではなく、用語と周辺知識を結びつけて理解することが重要だと思います。 E資格の合格が目的ではなくE資格受験で得た知識を業務に活かしたい場合には、応用力を身につけるためにも丸暗記は避けるべきでしょう。 解説がわかりづらい部分や「論文を参照」と書いている部分については、Web上の記事がとても参考になりました。
付属の模試1回分は問題集を2周した段階で解きましたが、初見で9割近く取れたので本番よりもやや簡単めの難易度に設定されていると思います。 試験直前に解き、自信をつけた状態で本番に臨むと良いかと思います。
E資格に役立った本書ですが、注意点もあります。 網羅範囲は本書が発行された時点のものであり、次回(2022 #2)以降は本書だけでシラバスの範囲を網羅できない可能性が高いです。 将来的に新シラバスに対応した改訂版が発売される可能性が高いと思いますが、現時点で発行されているものを購入予定の方は注意しましょう。
AI STANDARD
会社のお金でE資格を受験したため、会社で利用できる唯一のJDLA認定プログラム「株式会社STANDARD」を利用しました。 機械学習、深層学習、E資格対策(例題集)の3本立てで、それぞれ最後に修了試験があります。 ある程度事前知識があったので、講座自体は1回流し読みする程度で修了試験は一発合格でした。 講座の内容を理解していれば合格は難しくないでしょう。
E資格の試験対策としては、黒本と同様に例題集のすべての問題に回答できるまで繰り返し解きました。 問題の解説が不十分なところが多かったため、必要に応じてWeb上の記事を参照して納得するまで調べました。
感想とまとめ
高額な受験費用とシラバス変更の影響で1発合格しなければというプレッシャーがあったE資格ですが、無事合格できてよかったです。 E資格の勉強を通してAIに関する知識が受験前よりも増え、エンジニアとして次のステップに進むための地盤を固められたと思います。
今後は数理統計の観点からAIを理解するために統計検定1級の勉強に注力しつつ、業務範囲が広がったことからAI以外の知識習得にも力を入れていこうと思います。 JDLAによる認定資格としてAIのビジネス適用に焦点を置いた G検定 もありますが、こちらは内容的にエンジニアよりもジェネラリスト向けの内容ということでskipしようかと思います。
E資格は資格ビジネスとか取得しても意味がないと言われることもありますが、個人的にはこれについて否定的な意見を持っています。 たしかにJDLA認定プログラムや試験の価格を考えるとこの主張に対して理解できる部分もあります。 しかしE資格取得に向けて勉強したことで得た知識は、今後もAIに関わっていくエンジニアとしても間違いなく役立つと感じています。 実際E資格を受験しなければ、強化学習や深層学習で使われるモデルの詳細について勉強する機会はもう少し先になっていたと思います。
個人的に資格試験は合格することを目的とするのではなく、試験勉強で得た知識を業務などでどのように活かしていくかを考えながら勉強するのがよいと思っています。 その意味でE資格は、AIに関する幅広い知識を得て次のステップに進むための良い資格であると思いました。