【統計学入門(東京大学出版会)】第5章 練習問題 解答
東京大学出版会から出版されている統計学入門(基礎統計学Ⅰ)について第5章の練習問題の解答を書いていきます。
本章以外の解答
本章以外の練習問題の解答は別の記事で公開しています。
必要に応じて参照してください。
5.1
i)
密度関数
一様分布の密度関数 を次に示します。
期待値
期待値 は、
となります。
分散
と求まるので、
分散は は、
となります。
ii)
チェビシェフの不等式は、次の式で与えられます。
したがって、i)の結果を利用して、
が成り立つことを適当なk(ここでは とします)について確認すればよいことになります。
となり、不等式が成り立つことが確認できました。
iii)
密度関数 を次に示します。
これから、
と求まります。
歪度
歪度 は、
で求めますが、
であるため、 となります。
尖度
尖度 は、
で求めますが、
から、
となります。
5.2
各等級の当選金を 、本数を とすると、宝くじの期待値 は、次の式で表されます。
なお、全本数を としました。
上記の式を用いて期待値を求めるPythonプログラムを次に示します。
import numpy as np money = np.array([ 40000000, 10000000, 200000, 10000000, 100000, 1000000, 140000, 10000, 1000, 200 ]) num = np.array([ 7, 14, 903, 5, 645, 130, 130, 1300, 26000, 1300000 ]) total = np.sum(money * num) / 13000000 print(total)
上記のプログラムを実行した結果を次に示します。
89.4076923076923
5.3
i)
n回目に初めてコインが表になる確率 は、n-1回目まで裏が出ることと同じであるため、次の式で表されます。
ii)
i)の結果を用いて期待値 を求めると、
となり題意は示されました。
5.4
を式変形すると、
となります。上記の式を最小にするためには、 をについて微分した値が0になればよいので、
したがって、 のとき が最小値 をとります。
5.5
正n面体で各面が出る確率は、 です。 ここから、各期待値と分散が求まります。
期待値
期待値 は、1次式の和の公式 を用いて、
となります。
分散
分散 は、1次式の和の公式と2次式の和の公式 を用いて、
となります。
5.6
確率変数 の密度関数 は、次のように与えられます。
累積分布関数
の累積分布関数 は、
と求まります。
密度関数
となります。
期待値
期待値 は、
と求まります。
分散
となるため、分散 は、
と求まります。
5.7
確率変数 の密度関数 は、次のように与えられます。
累積分布関数
の累積分布関数 は、
で求めることができます。 は偶関数であるため、
となるため、
が得られます。 ここで は、標準正規分布の累積分布関数です。
密度関数
を用いると、
となります。
期待値
期待値 は、
で求めますが、 と であることを利用し、 が の域値であること(累積分布関数の算出で偶関数の性質を使うときに、 が負の領域を考慮して累積分布関数を2倍していること)に注意すると、
分散
となるため、分散 は、
と求まります。
5.8
コインの投げた回数を 回として、表が出た回数について の極限を取ることを考えます。
右極限 を取ると となります。 ただし、累積分布関数は と定義されるため、 より、右連続ではありません。
一方で左極限 を取ると となります。 ここで、累積分布関数は と定義されるため、 より、左連続になります(コインを投げた回数が離散値を取ることに注意します)。
一方、累積分布関数を と定義した場合は、同様の議論から左連続ではなく右連続になります。
以上のことから、 は右連続ではなく左連続になる点で とは異なります。